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世界クッキーひらいて

『三四郎はそれから門を出た』というタイトルのエッセイは三浦しおんだっただろうか。
夏目漱石中期三部作をタイトルにしちゃった背表紙をみて「いいね」と笑ってしまったのだった。
で、昨日私が図書館で借りてきた本をblogのタイトルにしてみた。
川上未映子『世界クッキー』
綿矢りさ『ひらいて』

この2冊を抱えて図書館をうろうろしている自分になんか照れてしまったのだ。
ひゃー!私がこんな色めくようなセレクトしちゃってる。どうした?!

それもそのはず
普段はふさふさの口髭を蓄えた明治時代のおじさんの小説やら、
そのおじさんに憧れている平成時代のじいさんの論文やらを
うんうん唸りながら読んでいた私が!
こんな旬な、ぴちぴちな!

川上未映子の小説で最初に読んだのは『乳と卵』。一気に読んだ。
だって、切るところがわからなかったから…

現代の樋口一葉と呼ばれていた彼女の小説は
『たけくらべ』のように息継ぎができなくて苦しかったのだけど、
『たけくらべ』のように途中でいやになることはなかった。

川上未映子は年齢も近くて、同じ大阪出身で、
もしかしてすこし近いリズムがあって、それで読めたのかもしれない。
だとすれば、私も樋口一葉と同じ時代に生まれていたら
『たけくらべ』ももう少しするりと読めたのかも。

結局『たけくらべ』は少年が美登利に「一番いい服を着て写真屋さんで写真を撮ろう」と
言ったシーンしか覚えていなくて、
川上未映子を読んでしまった今は、そのシーンをふと思い出す時、
私の頭の中で美登利の顔は川上未映子になっている…


綿矢りさの小説で最初に読んだのは『蹴りたい背中』。
(芥川賞をとりあえず読んでいることがここでばれるな…)
うわー…太宰…と思いながら読んだ。
なんだかひんやりした水を飲んだように静かな余韻が広がった。
太宰が苦手な私が、これは好きな太宰だと思った。

私の好きな太宰は『女生徒』と『斜陽』。それ以外は、ちょっと…
これに対して鋭い指摘があった。
「その二つ、すごく太宰っぽいけどなあ。女性の語り手なら大丈夫なのかな?」
ああ!そうか!と思った。(指摘してくれたのは小説家の寒竹泉美さん。さすが。)
同じ水でもぬるーい水はだめで、ひんやりした水なら飲める。
そんな感じ。

あと、綿矢りさで思い出すことがある。
昔所属していた研究室にいた困った後輩。
いい加減でなんかずれてて空気が読めないやつ。
なぜかいつもわからないことを私にばかり聞いてきて面倒だった。
そいつが言った。
「僕、綿矢りさと同い年なんです。僕らって、「キレる中学生」っていわれた世代なんですよ。」
そしてへらへらと笑った。
自分で自分を笑うような、諦めたような、むしろ嬉しがっているような笑い方。
これは、背中じゃなくても蹴りたくなる。
そんな感じ。

でも、今借りてきた本の最後の作者紹介の欄をみると
計算してみてもあの後輩は綿矢りさと同い年じゃないと思う。
やっぱりあいつ、いい加減だな。
蹴っておけばよかった。

川上未映子と綿矢りさの間にいるどちらでもない自分を感じながら
ゆらゆらと読んでいる。

世界クッキーひらいて

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