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「漱石ところどころ」第2回

第2回『硝子戸の中』


『硝子戸の中』と書いて、がらすどのうち、と読む。「なか」ではなく「うち」。
漢和辞典で調べてみたところ、「中」に「うち」の読みはない。ただ、「うち」という意味はある。
「うちに帰る」というが、「家」という漢字に実は「うち」という読みはない。
同じく「うち」という意味はある。(携帯電話で「うち」と打つと変換候補に「家」がでてくるのだか…)
そんな風にたどっていくと「うち」ってどこなんだろう?と考えてしまう。
ここでいう「硝子戸の中」とは漱石の書斎のこと。
漱石はここで見る、聞く、考える、そして人に出会う。漱石の書斎には様々な人が訪ねてくる。
友人はもちろん、縁もゆかりもないただのファンまでやってくる。
全員に面会する義務などないのに漱石はご丁寧に対応する。
神経質な気難し屋のくせに馬鹿馬鹿しいほど誠実に話をきいてやるのだ。
そんなことしているから胃潰瘍で死んじゃったんじゃないかと思ってしまう。
ある日自分の過去を聞いてほしいという女が訪ねてくる。
女は漱石に自分の過去を打ち明け最後にこう聞く。
もし小説だったら先生は最後に女を生かしますか、殺しますか、と。
漱石は答えられず、夜が更けたから送ってあげましょう、と一緒に外へ出る。
女は歩きながら、先生に送っていただくのはもったいない、光栄です、という。
「本当に光栄と思いますか」と漱石が聞く。
「思います」女は答える。
漱石は女にこう言った。「そんなら死なずに生きていらっしゃい」
漱石はうちへ帰り、そして「死」について思いを巡らせる。
じっと自分の心の内を眺める。ある日の硝子戸の中の出来事。
これは漱石の「うち」の物語である。
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