FC2ブログ

漱石ところどころ

先月から配布されているフリーペーパー『ハピネス』no.10の
『漱石ところどころ』をブログにアップしそびれていました。
もう次の号の制作に入っているそうです。
今回は『こころ』です。
漱石の中でも超メジャーなこの作品について、名前を知りたい男の子の話です。

『こころ』が東京朝日新聞に連載されていた当時、ある少年が漱石に手紙を書いた。
『こころ』に登場する「先生」の名前を知りたいと。漱石は少年に返事を書いた。
「あの「こころ」といふ小説の中にある「先生」といふ人はもう死んでしまいました。
名前はありますが、あなたが覚えても役に立たない人です。
あなたは小学の六年生でよくあんなものをよみますね。
あれは小供がよんでためになるものぢゃありませんからおよしなさい。」
そういった小説が、現在、高校生の現代文の教科書に載っていると知ったら、漱石はどんな顔をするだろうか。
『こころ』は「上 先生と私」「中 両親と私」「下 先生と遺書」の三部構成で
「上」では謎多き「先生」と青年「私」の関わりが描かれ、
「中」では帰郷していた「私」のもとに「先生」から分厚い手紙が届き、
「下」はその手紙の内容で、ついに、青年に「先生」の過去が語られる。
教科書に掲載されているのはだいたい「下」の一部分であるため、先生の謎を追っていく過程が体験できず、
あの少年が漱石に手紙を書きたくなるような興奮はないかもしれない。
ところでこの少年はなぜ「先生」の名前を知りたかったのだろうか。
実は『こころ』で名前が明かされないのは「先生」だけではない。
頭文字で呼ばれる「先生」の親友「K」、「先生」が唯一自分の過去を語ることになる青年「私」、
すべて固有の名前を持たない。たった一人、名前で呼ばれている人物がいる。
「先生」と「K」が思いを寄せた「お嬢さん」つまり、のちの「先生」の妻だけが「静」と「先生」に呼ばれる場面がある。
「先生」は手紙の最後にこう言う。「私は妻には何も知らせたくないのです。」
物語の中で一人だけ名前を明かされている「先生」の妻「静」だけが「先生」の謎を知ることはなかったのである。


この少年に漱石が送った手紙が姫路文学館にあるそうなんですが、
姫路文学館のHPをみてもわかりませんでした。
少年の手紙は残っていないそうです。漱石は手紙とかいろいろをすぐ焼いちゃった人らしいからなあ。

ところで、皆さんはこの「先生」っていくつだと思って読んでいましたか?
私はずっと青年の両親ぐらいなんだろうと思っていたんですが、
江藤淳氏、三好行雄氏によると、手紙(遺書)を書いて自殺したときは37歳と推定されているそうです。
37歳?!
ちなみに青年「私」はその時25歳。
私は先生の本当の名前よりも青年が先生を「先生」と呼んだ事のほうが気になります。
















スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。